「引き寄せ」と聞くと
スピリチュアルな匂いがして
苦手意識を持つ人もいるかもしれない。
私も、精神世界の話には正直あまり馴染めない。
宇宙やエネルギーを信じているわけでもない。
それでも──
自分の夢や願望を
言葉にして、イメージすることの力を
私は、軽視できないと思っている。
10年におよんだ私の妊活を振り返ると、
私はいつも、“母になった自分”を
クリアに思い描くことができていた。
そして、「私は母になる」と信じて疑わなかった。
ビジュアライゼーションとアファメーション。
もしかしたら私は、無意識に
「引き寄せ」を行っていたのかもしれない。
それは、脳の仕組みを活かした、
現実創造の第一歩だったのだと思う。
◆ 「母になる」──それは、当然のことだった
受精卵の移植を繰り返しても、結果は陰性ばかり。
やっと陽性判定を得ても、喜びは数週間で消えた。
それでもまた、私は立ち上がった。
未来をつかみ取る努力を、続けることができた。
それは、私の中で
“母になる”ことが当然の未来だと感じられていたから。
主人は、結婚当初から
夫婦水入らずの人生を考えていた人だった。
子どもと接するのも、どちらかといえば苦手なタイプ。
それでも、私が「子どもがほしい」と言い始めたとき、
主人は、全面的にサポートしてくれた。
妊活は、パートナーの協力なしでは難しい。
女性だけでなく、男性も検査や治療に参加する必要がある。
主人は、一言も文句を言わずに、すべて受け入れてくれた。
それでも、何年も続いた治療のなかで、
彼はそっと、こう呟いた。
「子どものない人生も、いいよね」
「……うん……」
空返事をしながら、
心の奥では、ずっとこう思っていた。
「私は、母になる」
「母にならないはずがない」
それが、アファメーションだったのかもしれない。
◆ 未来は、意図して創るもの
最近ベストセラーになっている
『タフティ・ザ・プリーステス』や『地球大暴露』にも、
こんなメッセージがある。
「未来は、意図して創るもの」
私はスピリチュアルな感性はまったくないし、
宇宙のパワーとか、エネルギーという言葉にもピンとこない。
けれど──
現実は確かに、
心で繰り返していた言葉通りに、
思い描いていたイメージ通りに、動いていった。
◆ 言語化・可視化は、脳トレだった
人間の脳には「RAS(網様体賦活系)」というフィルターがある。
これは、自分にとって「重要だ」と判断した情報を
自然と集めてくれる、“現実選別機能”。
たとえば、黄色いジャケットが欲しいと思った瞬間から、
街中で黄色いジャケットばかり目につく。
雑誌や広告にも、やたら黄色が飛び込んでくる。
あれは、意識が変わったことで、
脳が“現実のピント”を合わせ直している状態だ。
言語化、あるいは可視化することで
脳はそれを「重要な情報」と認識し、
自然とそこに向かって動き始める。
つまり、アファメーションとビジュアライゼーションは
単なる“気休め”じゃない。
脳のスイッチを、自分の未来に合わせ直す作業。
願望を叶えるために必要な情報を、
無意識のうちに集めさせる脳トレだったのだ。
◆ やってみる価値は、ある
言語化が得意なら、ノートに願望を書き綴ってもいい。
可視化が得意なら、未来の自分をできるだけ鮮やかに思い描く。
五感を総動員して──
匂い、手触り、音、温度までも想像できたら、さらにいい。
「ビジョンボード」を作るのもおすすめだ。
夢や目標を、写真やイラスト、言葉でまとめる。
それを眺めるだけでも、脳は自然と未来にピントを合わせてくれる。
どれも、お金のかかるものじゃない。
隙間時間に、できることから、始めてみればいい。
◆ 私が、私にかけていた言葉
「私は、母になる準備ができている」
「私は、子どもをこの手に抱く」
「私の家庭は、子どもの笑い声で満ちている」
それは、誰かに祈ったわけでも、
魔法の呪文を唱えたわけでもない。
ただ、私自身が、自分にかけ続けた言葉だった。
そしてその言葉は、確かに
私の選択と行動を導いてくれた。
◆ あなたが、欲しいものは何?
すぐには願いが叶わないかもしれない。
途中で、別の道を探す必要が出てくるかもしれない。
でも大切なのは、自分が何を欲しているのか。
それを、できるだけクリアに、研ぎ澄ますこと。
否定的な言葉は、できるだけ口にしないで。
「私は、未来を創る力がある」
「私は、選べる」
言葉が変わると、脳が変わる。
脳が変わると、行動が変わる。
そして、未来が、そっと動き出す。
私の未来が、そうだったように。
◆ あなたへ・・・
あなたの願いが、叶えられますように──。
【次回予告】
次回は再び、3度目の妊娠の話に戻り、その行方について綴ろうと思う。