“She is brave and strong and broken all at once.”
彼女は勇敢で、強くて、そして壊れている。
オーストラリアの作家アンナ・ファンダーのこの言葉には、
人が持つ矛盾の美しさが宿っている。
私自身も、矛盾だらけの人間だ。
◆ 私は、もろくて強い
「あなたは強いのね」と言われることがある。
確かに、私は強い。けれど、同時にもろくもある。
不妊治療を続けた10年。
私は、何度も心が折れそうになった。
毎日のホルモン注射、繰り返される陰性判定、3度の稽留流産。
感情をぶつけてしまうこともあった。
主人にあたり、皿を投げ、
道路に飛び出して傘を振り回しながら泣き叫んだ日もあった。
物が壊れ、自分も壊れかけた。
ああ、なんてもろい私。
それでも、手放せなかった希望があった。
だから私は、壊れても破片を拾い集め、また歩き出した。
泣きながら笑い、
絶望の中でも、ごはんを作り、
掻爬手術の数日後には仕事で壇上に立った。
誰かに相談することもなく、
主人とともに、静かに戦い続けた10年。
そこには、確かに勇気と強さがあったのだと思う。
もろさと勇気と強さ——
それらすべてを同時に抱えるという矛盾こそが、
人間らしさ……だよね?
◆ だから、全部あっていい
「強くあれ」と言われるかもしれない。
「強くありたい」と思うかもしれない。
でも、そこには全部あっていい。
強さだけでなく
弱さも、涙も、怒りも、恐れも、
不安も、躊躇も、憤りも、願いも。
それらすべてが、人生に深みを与え、
私たちの人生を、より美しく、尊いものにしてくれる。
◆ あなたへ・・・
壊れていても、ちゃんと生きているあなたに、
心からの拍手を。
そう! 壊れたなら、その破片を拾い集め、
靴の紐を締め直して、また一歩、進めばいい。