“The joy in motherhood comes in moments. There will be hard times and frustrating times, but amid the challenges there are shining moments of joy and satisfaction.”
——M. Russell Ballard(実業家兼宗教指導者)
母親としての喜びは、一瞬一瞬の中に訪れる。
辛いときや、苛立ちを感じるときもあるだろう。
それでも、困難の合間には、輝くような喜びと満足感の瞬間がある。
◆ ただの歯磨きで…
2歳の娘が、また歯磨きを拒んだ。
「イヤ!イヤ〜!」と全身をよじって大暴れ。
私は何度も深呼吸して、なだめようとした。
でも、ついに、声を荒げてしまった。
「ちゃんと磨かないと虫歯になるから!」
わかってる。怒っても仕方がないことは。
けれど、寝不足と疲労と焦りが積もりに積もったとき、
その“わかっている”すら吹き飛んでしまう。
小さな顔を片腕で押さえつけ、
もう一方の手で、小さな口に無理やり歯ブラシを入れ、
私の小指の爪よりも小さな乳歯を磨く。
涙が出そうになった。
◆ 私だって、いっぱいいっぱい
夜泣きに何度も起こされる毎晩。
最後にぐっすり眠れたのは、いつだったっけ。
ごはんは立ったまま、かきこむように食べる。
洗濯物の山を横目に、返信していないLINEがたまっていく。
頭の片隅では、やり残した仕事がざわざわしている。
子どもが泣いて、慌てて立ち上がった瞬間、
床に散らばったおもちゃにつまずいた。
体も心も、常にフル稼働。
「笑顔のママ」でいられる余裕なんて、
正直ほとんどない。
同年代の子どもを育てるママたちと比べたら、
私は社会経験は十分すぎるほど積んできた。
でも、育児はゼロからのスタート。
「高齢ママは精神的に成熟していて、育児に対する不安や焦りが少ない」
——って、誰が言った?
◆ ごめんね、本当にごめんね
歯磨き中に暴れまくっていた娘は、
もう、私の腕の中でうとうとしている。
双子のもう一人は、
さっき私が投げ飛ばしてしまった子ども用歯磨き粉を
そっと拾って、私のところに持ってきた。
「My toothpaste…」
ごめんね、本当に、ごめんね。
◆ Mommy, Mommy
そんな母なのに、子どもたちは…
保育園に迎えに行くと、
満面の笑みで一目散に駆けてくる。
私の腕のすり傷を見つけて、
「ちゅっ」とキスしてくれる。
しゃがんだ私の背中に腕を回して、
「ぎゅーっ」と言いながら抱きしめてくる。
そんなとき、私の心は
初恋みたいなときめきでいっぱいになる。
「My mommy!」「My mommy!」
双子が、私を取り合う。
◆ 幸せは“点”でやってくる
母としての幸せは、
すべてが順調で満たされている毎日じゃない。
イライラも、涙も、自己嫌悪もある。
温かい布団から出たくない朝もある。
それでも、ふと訪れる小さな“ときめき”。
その一瞬があるから、
また私は、子どもたちと向き合える。
怒涛の日常を、繰り返していける。
◆ あなたへ・・・
うまくできなかった日も、
怒ってしまった夜も、
母としての道のりの一部。
壊れそうな日々のなかに、
確かにある、光る“瞬間”。
その一瞬が、
きっと私たちを育てている。