妊娠14週で、小さな命を失った。
それでも、私が前に進めたのは、
あの日かけられたたった一言のおかげだった。
◆ 3度目の稽留流産と医師の言葉
私の3度目の稽留流産は、妊娠14週目だった。
そのとき、私は49歳だった。
もう、最後のチャンスだと思っていた。
診察を終えたあと、
私は担当だった産婦人科医に、聞いた。
「私はまた妊娠できますか?」
自分でも馬鹿げた質問だと思った。
口に出してから、
聞かなければ良かった、と後悔した。
私の不妊歴と年齢を考えれば、
「難しいだろう」と言われるに決まっている。
頭ではわかっていたけれど、
心がどうしても聞かずにはいられなかった。
そのとき、その医師が返した言葉がこれだった。
「有名なボクサーが言っている。
本当に負けるのは、あきらめたときだけだ、と。」
“You never lose until you actually give up.”
──マイク・タイソン
この言葉に、私は救われた。
この言葉通りに
私はあきらめなかった。
歩みを止めなかった。
勝利の女神は、
最後に、そっと私に微笑んでくれた。
◆ あとがき
あのとき、もし
「年齢的に難しいですね」とだけ言われていたら、
私はもう、立ち上がらなかったかもしれない。
たった一言で、人生は変わる。
たった一言で、人はまた進める。
私は、あのときの医師にも、
マイク・タイソンにも、
感謝している。
◆ 今の私の視点
“あきらめたら終わり”
それは常套句かもしれない。
でも、それは単なる精神論ではない。
未来を手に入れるために、
人は、自分自身に賭け続けなければいけない。
たとえ何度倒れても、
何度傷ついても。
自分を信じることだけは、
手放さないようにしたい。